効果的な人道支援及び災害復旧対応のための効率的な空港運用に関するタスクフォース会合開催

平成30年9月13日
香川昌平さん
(ICAO航空運送局
出入国円滑化オフィサー)
 交通インフラとしての空港を平時はもちろん,災害など緊急時にも安全且つ効率的に運用し,被災した地域や人々の支援に資するための国際的な施策を立案することもICAOの重要な機能の一つです。現在ICAOでは,他の国連機関と連携しながら,頻発する自然災害に対応するべく,災害発生時に空港はいかにして支援物資を効率的に受け入れる拠点となるべきか、またそれに必要な準備は何かを検討するため,定期的な会合を行っています。ある国で大規模な地震や台風などの自然災害が発生した際,諸外国からの復旧支援や援助は空路で行われるケースが大多数であり,その受入の拠点としての役割を担う空港の機能強化のため,国連開発計画(UNDP)や国連人道問題調整事務所(OCHA)とともに,ICAOは先頭に立ってこの課題に取り組んでおり,8月20日から22日にもモントリオールのICAO本部において,効果的な人道支援及び災害復旧対応のための効率的な空港運用を検討するタスクフォース会合が開催されました。

 当該会合には,交通や人道支援に関わる15の国際専門機関からの専門家とともに,ICAO事務局からは航空運送局の出入国円滑化オフィサーとして成田国際空港株式会社(NAA)から出向中の香川昌平さんが中心メンバーとして参加し,NAAの広報官として勤務されていた2011年3月に東日本大震災,福島の原発事故に遭遇し,成田空港の早期運用再開の情報発信を当時の国連機関のタスクフォースと連携して進めた自らの経験を踏まえ,支援物資の迅速な通関処理を関係機関とどのように進めるべきかの議論を積極的にリードしました。今後の課題としてはガイダンスマテリアルと呼ばれるマニュアルの整備、ワークショップの開催を通じての啓蒙活動、人道支援機受け入れに際しての優先順位付けの国際基準策定、地域事務所ごとの危機管理計画の策定,航空関係者と人道支援関係者が最新且つ同一の情報を共有できるようにする仕組みの整備が挙げられますが,これまでの香川さん,NAAを含む日本の経験,教訓を世界に還元すべく,当代表部としても尽力してゆく方針です。