【ICAOで働く日本人職員のご紹介】 高田裕之 アジア太平洋地域事務所北京支所オフィサー(航空交通流管理担当)
平成30年4月21日
現在ICAO事務局では10名の日本人職員が活躍しています。ICAOにはモントリオールのICAO本部以外に、世界8カ所に地域事務所及び支所が設置され、各地域の課題や実情に即した監視や技術支援活動等を行っています。今回はアジア・太平洋地域事務所北京支所のリージョナル・オフィサーとして、当該地域では著しい経済成長に伴い航空需要が大幅に増加する中、安全且つ円滑な航空交通の流れの管理体制を構築、維持する重責を担う高田裕之(たかた・ひろゆき)さんに、お仕事の内容やICAOで働くことになったきっかけを伺いました。
高田さんが所属されるアジア太平洋地域北京支所とはどのようなところですか。

ICAOの本部はカナダのモントリオールにあり、民間航空の安全でかつ効率的な運航に寄与する国際標準の制定や国際的指針の取りまとめを行っています。日本をはじめ各国が政府代表部を置き、航空委員会、理事会や総会といった意思決定・執行機関があるのも本部です。
一方、世界の空を見渡してみますと、日本、アメリカ、ヨーロッパといった過密な空域で高度な航空管制を提供している地域もあれば、民間航空機が少なく航空管制もまだまだこれからという地域もあります。そういった地域毎の違いにより、航空管制関連の技術導入の優先順位も違ってきます。そういったことから地域の状況に柔軟に対応すべく地域事務所が7ヶ所(バンコク、ナイロビ、パリ、カイロ、メキシコ、リマ、ダカール)に設置されています。それぞれの地方事務所では地域毎の状況、優先順位に即した計画を制定し、加盟各国間で調和されたシームレスな航空管制を提供できるように活動しています。
アジア地域の航空交通量は、昨今のアジアの経済発展に伴い、飛躍的に増えてきています。いまやアメリカやヨーロッパのそれを抜き、世界一の交通量をほこるだけでなく、今後も増加傾向が継続するとしています。さらに需要が高まる航空交通の安全で効率的な運航を実現するには、ICAOとしてグローバルな計画や地域毎の計画を制定するだけでなく、確実にそれが履行、実現されるように加盟各国をサポートする必要があるとして、アジア地域を担当するアジア太平洋地域事務所(バンコク)の支所組織を北京に設置したのが2013年のことです。
北京支所では、アジア太平洋地域における優先順位の高い分野である空域容量の拡大に繋がる施策が確実に実現できるように、航空路や空港への進入経路を設計する空域設計経験者や航空管制官出身等の専門家が各国から集まっており、11名の職員で業務にあたっています。
一方、世界の空を見渡してみますと、日本、アメリカ、ヨーロッパといった過密な空域で高度な航空管制を提供している地域もあれば、民間航空機が少なく航空管制もまだまだこれからという地域もあります。そういった地域毎の違いにより、航空管制関連の技術導入の優先順位も違ってきます。そういったことから地域の状況に柔軟に対応すべく地域事務所が7ヶ所(バンコク、ナイロビ、パリ、カイロ、メキシコ、リマ、ダカール)に設置されています。それぞれの地方事務所では地域毎の状況、優先順位に即した計画を制定し、加盟各国間で調和されたシームレスな航空管制を提供できるように活動しています。
アジア地域の航空交通量は、昨今のアジアの経済発展に伴い、飛躍的に増えてきています。いまやアメリカやヨーロッパのそれを抜き、世界一の交通量をほこるだけでなく、今後も増加傾向が継続するとしています。さらに需要が高まる航空交通の安全で効率的な運航を実現するには、ICAOとしてグローバルな計画や地域毎の計画を制定するだけでなく、確実にそれが履行、実現されるように加盟各国をサポートする必要があるとして、アジア地域を担当するアジア太平洋地域事務所(バンコク)の支所組織を北京に設置したのが2013年のことです。
北京支所では、アジア太平洋地域における優先順位の高い分野である空域容量の拡大に繋がる施策が確実に実現できるように、航空路や空港への進入経路を設計する空域設計経験者や航空管制官出身等の専門家が各国から集まっており、11名の職員で業務にあたっています。
現在のお仕事について教えて下さい。
私が担当しているのは航空交通流管理(Air Traffic Flow Management)の分野です。皆さんの中にも日本の空港において「目的空港周辺空域の混雑のために出発が15分遅れます。」という経験をなさった方が多いかと思います。もし仮に定刻通りに離陸した場合は、目的空港周辺での混雑により15分程度の空中待機や管制指示による旋回や減速が必要と予想される場合に出発空港のゲートで待機して離陸を遅らせることにより、空中待機等を発生させないようにするものです。比べてみるとどちらも遅延時間は15分ですので、目的空港への到着時刻は変わらないことになります。しかしながら、出発空港のゲートで待機することにより航空機のエンジンをまわす必要がありませんので、燃料の削減あるいは排出ガスの削減に繋がり経済的で環境面にも寄与します。また、空中待機や管制指示による旋回の回数が減れば管制官やパイロットのワークロード軽減にも繋がり、全体としてより安全で効率的な運航が可能となります。これが航空交通流管理(ATFM)です。
近年のアジア地域の航空交通量の増大には、その受け皿となる空域の容量を拡大することが先決ではありますが、一時的に集中する交通量を分散させて安全性を高める、滑走路閉鎖や悪天候等による急激な空域容量不足が発生した場合には、上述のような出発空港での待機に加えて様々な方法で交通の集中を回避する必要があります。つまり、航空交通流管理(ATFM)の導入を進めていく必要があります。
アジア地域には小さな国々もあることから隣接している国と協調して航空交通流管理(ATFM)を導入する必要がありますし、各国で共通な運用方式を定める必要があります。そこで、管制当局や航空会社に対して航空交通流管理(ATFM)の重要性や必要性を認識していただくためにワークショップやセミナーを開催し、普及活動を行っています。また、実際に航空交通流管理(ATFM)を導入しようとしている国や航空当局に対して技術的支援も行っています。
近年のアジア地域の航空交通量の増大には、その受け皿となる空域の容量を拡大することが先決ではありますが、一時的に集中する交通量を分散させて安全性を高める、滑走路閉鎖や悪天候等による急激な空域容量不足が発生した場合には、上述のような出発空港での待機に加えて様々な方法で交通の集中を回避する必要があります。つまり、航空交通流管理(ATFM)の導入を進めていく必要があります。
アジア地域には小さな国々もあることから隣接している国と協調して航空交通流管理(ATFM)を導入する必要がありますし、各国で共通な運用方式を定める必要があります。そこで、管制当局や航空会社に対して航空交通流管理(ATFM)の重要性や必要性を認識していただくためにワークショップやセミナーを開催し、普及活動を行っています。また、実際に航空交通流管理(ATFM)を導入しようとしている国や航空当局に対して技術的支援も行っています。
ICAOで働くことになったきっかけとICAOでの経験を教えて下さい。
私は、航空管制官として日本の国土交通省航空局で勤務をしていました。日本の航空管制はICAOの基準に合致したものとなっており、ICAOの会議や専門家会合等には積極的に日本からも参加をしてICAO活動に寄与しています。そういったことから航空管制官として様々な国際会議やICAOの専門家会合に参加する機会に恵まれました。
2013年にICAO北京支所が開設される時に、日本の航空局からの航空管制の専門家として三年間派遣され、支所開設に関わる業務や加盟各国とICAOとしての業務を経験することが出来ました。派遣終了後は航空局に戻り将来の航空管制のあり方等を企画する部署で勤務しておりましたが、ICAO北京支所での正規職員ポストの公募があったため、航空局の推薦を受け応募し、採用に至りました。
思い返せば、航空管制官としての専門的な知見はもとより、これまで経験した様々なICAOの専門家会合、またそれを支える二国間会議等の国際会議、そしてICAOへの派遣、それらの経験全てが今回の正規職員としての採用に繋がったと思っています。
2013年にICAO北京支所が開設される時に、日本の航空局からの航空管制の専門家として三年間派遣され、支所開設に関わる業務や加盟各国とICAOとしての業務を経験することが出来ました。派遣終了後は航空局に戻り将来の航空管制のあり方等を企画する部署で勤務しておりましたが、ICAO北京支所での正規職員ポストの公募があったため、航空局の推薦を受け応募し、採用に至りました。
思い返せば、航空管制官としての専門的な知見はもとより、これまで経験した様々なICAOの専門家会合、またそれを支える二国間会議等の国際会議、そしてICAOへの派遣、それらの経験全てが今回の正規職員としての採用に繋がったと思っています。
ICAOや国際機関で働くことを目指す人へのアドバイスをお願いします。

私のような専門職の場合は、専門家としての十分な経験を求められる前提があり、その上でこの人に任せておけば大丈夫と思ってもらえるような実績が必要となります。そういった意味でそれぞれの専門分野において一所懸命に業務を遂行することが、結果として採用への近道になると思います。また、専門職の公募は定期的にでるものではありませんので、風が吹くのを待つ必要もあります。風が吹いたらいつでも対応出来るように日頃から自分磨きを欠かさないことも必要だと思います。
ICAOの中にも様々な専門分野があり、将来のご自身のキャリアの選択肢としてお考えの方は、ICAOのホームページやこのホームページなどを活用してICAOや日本の取組、空席ポストなどについて情報収集されるのも基本的な知識とモチベーションを高める上で役立つでしょう。
※ 高田 裕之(たかた・ひろゆき)
アジア太平洋地域事務所・北京支所 リージョナル・ オフィサー(航空交通流担当) (Regional Officer, Air Traffic Flow Management, the Asia and Pacific Regional Sub-Office in Beijing)
兵庫県神戸市出身。航空保安大学校管制科を卒業後、国土交通省航空局にて航空管制官として勤務。2013年から3年間のICAO派遣を経験し、2017年にICAOに正規職員として本採用。
ICAOの中にも様々な専門分野があり、将来のご自身のキャリアの選択肢としてお考えの方は、ICAOのホームページやこのホームページなどを活用してICAOや日本の取組、空席ポストなどについて情報収集されるのも基本的な知識とモチベーションを高める上で役立つでしょう。
※ 高田 裕之(たかた・ひろゆき)
アジア太平洋地域事務所・北京支所 リージョナル・ オフィサー(航空交通流担当) (Regional Officer, Air Traffic Flow Management, the Asia and Pacific Regional Sub-Office in Beijing)
兵庫県神戸市出身。航空保安大学校管制科を卒業後、国土交通省航空局にて航空管制官として勤務。2013年から3年間のICAO派遣を経験し、2017年にICAOに正規職員として本採用。